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大統領になりそこねた男が、温暖化危機をSTOPする!?

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人類は幾多の不都合な時代を乗り越えてきた。暗黒に浮かぶ地球の写真が、沈黙の意志(vision)が、時代を変える原動力になる事もある。大統領になりそこねた男が、温暖化危機をSTOPする!?


1968年、故JFケネディー大統領の弟ロバート・ケネディー元司法長官が大統領選挙に出馬した。米国民はキング牧師暗殺や泥沼のベトナム戦争から戻る死体袋など閉塞的な時代を、TVの粒子の粗いカラー画面から透して見ていた。映画『BOBBY』(=RF.Kenndy)は、カリフォルニア州予備選挙当日、民主党選挙対策本部とレセプション会場がおかれたL.Aのアンバサダー・ホテルでの1日を、この時代を悩みもがく若者・老人・歌手・ホテルマン・不法移民労働者らを通して時間軸で追っている。
唯一の希望は、”BOBBY!!”彼だけだった !!


閑話(それは)休題(さておき)――

『不都合な〜 』は今年の流行語になるだろう。ゴア元副大統領は映画版で、講演会場に颯爽と登壇し「一瞬だけ大統領になった男です。」と皮肉っぽく自己紹介する。2001年ブッシュとの大統領選挙でのフロリダ州開票疑惑は今でも米国民の笑いを誘う!本書の扱う温暖化による地球破壊は、大きすぎて正しく理解するのにも解決するのにも気の遠くなるようなテーマだ。これに挑めるリーダーは、彼を措いていないだろう。
数々の真実を知ることが解決の一歩となる。ハワイ島マウナロア山頂から気球をあげCO2濃度を1958年より測定しているレヴェル教授から著者は学生時代、温暖化や現在の異常気象危機の可能性を知らされた。残念ながらこの50年毎年減ることなくCO2は増え続けている。
CO2は温室効果ガスの8割を占め家庭・自動車・工場・発電所森林伐採や火災・焼畑から排出されている。埋め立てや廃棄物からのメタンや、亜酸化窒素、フロン、水蒸気など他もすべて人間が生み出しているガスである。
気侯変動などは自然の変化で大自然や地球の環境を人間が変えることなど出来るわけがないという意見もあるが、大気圏の厚さを考えればそれは容易な事だという。「ここに地球儀があります。これに塗られているニスほどの薄い層それが大気なのです。」人類が無神経な爪あとを残しバランスを崩すことはいとも簡単なのだ!
温暖化を身近に知る研究に、氷河や高山冠雪観測がある。かつて絵葉書にもなった美しい景観は、今はどこも地肌をさらしており、氷床コアからは過去1000年のCO2と気温のデータが、さらに南極の試料では65万年に遡る。グラフは、産業革命以降急上昇し危機を告げている。
近年、米国では毎年最高気温記録更新があり、1980年以降上昇が急だ。現在世界の平均気温は14.5℃で2〜3℃の上昇は赤道上では0.5℃だが北極では7℃も上昇する。最後の氷河期が去ってからずっと安定していた気流や海流が今大きく変わりつつある。海水温上昇は、アトランタ市を壊滅させた大型ハリケーンカトリーナ」を始め、洪水、竜巻、山火事など各所で大きな被害を出す自然災害の原因となっている。
著者は地球的規模の災害も危惧している。その指標が、南極と北極の氷床の崩壊による水位の上昇で,とくに南極の氷床は大陸上3000mもあるのに対し、北極は海上に3mしかなく、まさに薄氷を踏む危うさだ!冷戦下1970年代、北極の氷の厚さは核配備潜水艦作戦上、最高機密だった。著者は海軍やCIAを説得し、データを入手した。近年の気温上昇を受け急激に小さくなっており、その変化に驚愕し本書や映画版で,CG画像を駆使してその崩壊溶出で数年後に水没する都市や国々や気候変動の惨状を見せている。


著者にはプライベートにも人生の進路を変える幾つかの出来事がある。幼い頃、彼の面倒をよくみてくれた姉を肺ガンで無くした、喫煙が原因であった。60年代からこの因果関係は知られていたが、関連業界の政治活動や広告活動により故意に隠されこの危険性が人々に知られるようになったのはごく最近の事だ。このあやまちを温暖化でも(米政府特にブッシュ政権や電力会社、自動車業界等は)繰り返していると言うのだ。米国は京都議定書を奏上しながら批准せず、しかも実に世界の30%以上の温暖化ガスを排出している。(1人あたりの量も世界平均の5倍以上EU・日本・ロシアは2〜2.5倍)。このような政治を巻き込んだ悪循環を正すのには、著者のような国情に精通したリーダーシップが、今必要なのだ。
最後に本誌では我々が身近でできる温暖化対策を挙げている。①電球の種類を変えよう。照明器具から出される熱量はエネルギーの80%以上である。②建物やビジネスを省エネ型に設計、計画する。③冷暖房の温度をエコ設定にする。④より燃費がいいハイブリッドや次世代エネルギー自動車に乗ろう。⑤アイドリングストップなどエコドライブをしよう。⑥乗用車以外の大型輸送、交通システムの効率化。⑦リサイクル、リユースを進め、過剰包装をせず、地域製品を利用しよう。⑧バイオマス、風力、太陽光、地熱、水力などの再生可能エネルギーの導入。⑨産業から排出廃棄される炭素を貯蔵する。⑩木を植えよう。1本の木は生育中1tのCO2を吸収する。⑪環境危機について学びまわりの人たちに知らせよう。


――なぜか今の米国とダブる『BOBBY』のクライマックス、カリフォルニア州で勝利したRFKの新しいビジョンが響く。ホテルでは喜びの顔が彼をかこむ―――が、無状の銃声が一瞬で歓喜をかき消す!! 無言の映像の中から “The Sound of Silence” が流れ出す。

”“Hello(――やあ) Darkness(暗闇クン、), my(ボクの) old(古い) friend(友達), I've(また) come(キミ) to(と) talk(はなし) with(を) you(しに) again(来たよ。). Because(だって、ある) a(ビジョンが) vision(ボクが) softly(眠って) creeping(いる間に), left(そっと) its(すり) seeds(よって) while(来てタネ) I(を) was(まいて) sleeping(いったからね), and(そして) the(その) vision(ビジョン) that(は) was(ボクの) planted(脳裏の) in(深く) my(に) brain(植えつけ) still(られ) remains(今なお) within(沈黙の音) the(の) sound(中で生き) of(て) silence(いるんだ――).” ――

時代の音楽が、すべてを物語る。おなじ1968年クリスマス・イブにアポロ8号は月の地平線より昇る地球の映像を初めて目にする。宇宙の中の地球を意識した人類はこの後2年たらずで、第1回アースデイ、排ガス法・水質汚染法などの環境ムーブメントを生み出した。きっと危機を回避するチャンスはあるはずだ!
――不都合を乗り越え我々も今、行動しなければならない、沈黙の中から再び立ち上がった彼らのように――。    

不都合な真実

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